特選『婆(バァ)』

まなざしフォト部二期フォトコンテスト「まなざし」受賞
私が見出した「まなざし」は婆(バァ)の瞳しかありませんでした。良かったら、その理由と経緯を読んで下さい。
(補足)
我が家は私、夫、娘二人、義父、義祖母の六人家族です。娘たちにとってひーばぁちゃんにあたる義祖母は昔から「バァ」と呼ばれてます。以下バァと表記。

バァは家の人の取り決めで、中学卒業と同時にこの大越家に嫁いだそうです。その時代ここら辺ではごく一般的な事だったとか。

今の時代では高校にも行かず結婚相手を親に決められる、そんなこと考えられませんが、バァは「オレはここに生まれて農家に嫁いで幸せだ」そう言って、自分達の子供(義父)、その子供(夫)の世話を終え、今はまたその子供(娘たち)に振り回されています。

夫の頃から孫とつくものには甘かったようで、娘たちが好き嫌いを言うと「そんなん食べんくたっていいろ!」と横槍を入れてくるので、私は「余計なこと言わなくていい!」と負けじと反論。(ばぁさんにも容赦なし)
お陰で私は(鬼舞辻)無惨と呼ばれてます。笑

コロナ禍の今日、バァの育ってきた環境とでは全くもって違う世界。ウィルス…なんて言葉を聞く機会もなかった世代の人とは、当然価値観は大幅にズレ、衝突することは多々。

それでも、バァの時代から近くの保育園に援助をしてきた話、正月には餅を食べる日が決まってる話、パパの子供の頃はやんちゃで穴の空いてない障子がなかった話…、この地で経験してきたたわいもない話で盛り上がり、私はだんだんと大越家、そしてこの地に馴染むことができていきました。

この4月で、次女は小学生に上がります。

長女の時もそうでしたが、顔見知りの地域の人に見守られながら安心して学校に行かせられる。そんな環境を作ってくれているのは、紛れもなくずっとこの地、この家を守ってきたバァや、天国のジィなんだと知りました。

時代や環境の変化を写してきたバァのまなざし。(だからあえて色を消し、白黒に。)

娘たちはバァが大好きです。

このずっと変わらない愛情のまなざしがあるからこそ、私は子供たちのまなざしが美しいと感じられる、そう思ったのです。

そしてかしこまって撮ると、自然ではなくなると思い、娘と一緒にカメラを握り、娘に撮ってもらいました。

ここまで読んで下さり、ありがとうございました。


写真・キャプション:@okoshifarm



顧問コメント

このバァさんのまなざしはお孫さんに向けられたものだったんですね。そんな孫に少し甘く愛おしむ気持ちに満ちたまなざしだと思いました。お子さんたち、このお写真はとっても大事な一枚になると思います。もちろんバァさんにとってもご家族にとっても。

講評:相武えつ子さん(まなざしフォト部の顧問)


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